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映画『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』レビュー

斬新なタイトルが印象的なこの映画は、ニートがブラック企業に就職してからの半年間をインターネット掲示板をとおして振り返る物語です。

≪現代風の描写≫

インターネットの掲示板に書き込まれた同タイトルのスレッドを立てた主人公の話です。主人公であるマ男が入社からの半年間を掲示板の書き込みに沿って振り返るかたちで物語が進行していきます。現代ならではの描き方ですが、とても大げさなテロップや描写によって、掲示板自体に詳しくなくても物語の内容は理解できるように工夫されています。

プログラマーという主人公の職業から「デスマ」などの専門用語が出てきますが、詳しくない人でも理解できるようなシーンのたとえもあり、意味が映像でイメージしやすかったです。

現代風の専門職という設定で進むストーリーながら、疑問を残したまま進んでしまうことがなく、世代が違っても観られる作品だと感じました。

 

≪強烈な個性のキャラクター≫

登場するキャラクターは、そんなヤツいないだろう!と突っ込みを入れたくなるような人物ばかりですが、誇張して表現されてはいるものの、実際にブラック企業にはいるんですよね、こういう強烈なキャラクターの人々が。独裁者のような人、相手でコロコロとカメレオンのように態度を変える人、常識の皮をかぶった非常識人…。

そんないないようで実際にはいる現実的なキャラクターたちにより、強く共感できるシーンも多いです。元ニートだったとはいえ就職してからは仕事に対してマジメな主人公に自分を重ねる人も多いのではないでしょうか。

残念なのは、このストーリーの中で唯一の救いである藤田さんが、現実にはいないことです。私の場合はこの映画を鑑賞しながら、藤田さんのような人がいたら自分も頑張れていたのかな、いや、やっぱりそこまで頑張る必要あったのかな、などと過去の自分との葛藤がありました。みなさんも観る人それぞれの立場から思うことがいろいろあるのではないでしょうか。

 

≪ブラック会社あるある≫

残業が当たり前なのは今ではどこの会社も同じかもしれませんが(と思っている私が麻痺している?)、とある雑誌を目にしたことで主人公は早くも入社初日に、自分はブラック会社に就職してしまったと気づきます。

そして主人公は、厄介な先輩や上司に立ち向かうように仕事をバリバリとこなし、2週間でリーダーに昇格します。これがブラック企業あるあるだと感じてしまったのですが、もちろんこの映画の場合、タイトなスケジュールをこなして納期に間に合わせたという、彼の成果を評価してのことだと思います。ですが、ブラック企業は割とすぐに昇格という階段をのぼることが出来るというイメージがあります。簡単にリーダーなどのまとめ役に昇格して自分の実力が認められたように感じるのですが、次に待っているのは理不尽な責任の押し付け合いだったりしませんか。

そんなリアルなブラック企業の現状もしっかりと描かれていて、思わずため息が出てしまいました。

 

≪危険を感じる結末≫

タイトルを見たとき思ったのは、この映画の結末はどんなだろうということでした。昔も今も、社会人の多くが抱えているブラック企業問題を描いた作品。一体どんなメッセージが込められているのだろう、という期待のなか鑑賞しました。私の感想は「ダメでしょ」でした。ブラック会社に就職し、理不尽な扱いを受けながらも立ち向かう主人公。その姿には共感を覚えました。けれど、最後の「これが生きてくってことなんだ」には正直ガッカリしてしまいました。ブラック会社の問題が何一つ解消されていないどころか、そこにただ勤め続けるという選択をした主人公。彼は変わりたいと感じていました。主人公が葛藤したのは過去にニートだった自分との決別でした。それはいいのですが、なぜニートの自分と決別して、ブラックな会社に勤めるという選択しかなかったのだろう?という疑問が残りました。

あとがない、という主人公はおそらくまだ20代。これが30代であったとしても、選択肢はまだまだあったのではないのか、と思わずにはいられません。

この映画は2009年の作品なので、今ならもっと違ったストーリーになっていたのかもしれません。当時はまだブラック企業という言葉が浸透して数年くらいしか経っていなかったのではないでしょうか。勤め先がブラック企業だったとしても、ニートよりはいい、という考え方だったのかもしれません。

社会人として生きる道は、ブラック企業に勤めることだけではないはずです。心身ともに疲弊し、本来の自分を見失う恐れのあるブラック企業というものを、社会そのものだと思ってしまうことの恐ろしさを感じた作品でした。

映画『最強のふたり』(吹き替え版)レビュー

2011年のフランス映画で、実話に基づいて描かれた作品です。頚椎を損傷し、頭以外が麻痺した富豪と、その介護をすることになった貧困層の青年との物語。富豪フィリップをフランソワ・クリュゼが、介護人ドリスをオマール・シーが演じています。

 

鑑賞のきっかけ

この作品が当時かなり話題になっていたことは知っていましたが、少し難しそうだな、という勝手な思い込みからなかなか観ようという気になりませんでした。テレビでの放映をきっかけに吹き替え版を鑑賞したら、コミカルに描かれた二人の友情に笑いが止まりませんでした。思い込みってもったいないですね。この映画を観られてよかったです。次は字幕版を観て、表現の違いを感じてみたいです。

 

ふたりの出会い

ドリスはフィリップと出会い、その姿を見て「厄介だな」とひとこと。障害者ということへの妙な遠慮や配慮という言葉は彼には無縁でした。なんだか、サインひとつもちょっとやりにくそうだね、というくらいの感覚で障害を捉えるドリスがとてもいい味を出しています。フィリップはそんな遠慮なしにくるドリスを気に入ります。フィリップにとって障害への気遣いなどは不要なものでした。ひとりの人間として接するという、当たり前のように思えることがなかなか出来ていなかったりするものだな、と考えさせられます。けれど終始、物語のタッチは軽やかで、バックミュージックにはクラシックが流れていたり高そうな絵画が飾られていたり、たとえ高級な家具のそろった部屋が登場していても、ドリスが片っ端からその緊張感を解いてくれるという感じでとても観やすかったです。たくさん笑ってしまいました。

 

人と人

慣れない介護に戸惑いながらも、ちょっと雑な世話をドリスなりに一生懸命こなしていきます。フィリップが口に棒を加えてページをめくりながらの読書中、携帯が鳴ると「はい」と手渡すドリス。自分がボタンを押して携帯を耳にあてるのだということに気が付かず、ごめんごめん、フィリップが読書用の棒をくわえたままで話せないことにも気づかず、ごめんごめん、といった調子です。そんなドリスの姿をフィリップはうれしく思っていました。障害者という見方をしていないからこその言動に、ときに迷惑がりながら一緒に笑い転げる関係がだんだんと築き上げられていたのです。そのあたたかみのあるエピソードにほっこりさせられます。

 

深まる絆

作中では短期間で彼らの関係が一旦終わりを迎えます。しかし、元となった実話では10年間にわたりパートナーとして生活をしていたそうなので、その友情と絆はとても深いものだったことが分かります。

ある日フィリップが薬の効かない発作を起こし、息をしたいとドリスに頼みます。真夜中にも関わらずドリスはフィリップに毛布をかけて外へと連れ出し、一緒にパリの風に当たりながら、街を歩きました。そのうちフィリップの発作もおさまり、落ち着きを取り戻したのでした。この「息をしたい」というワードが何シーンかに出てきます。字幕版でどういう表現をされているのか気になるところです。フィリップが想い人と初めて会うというときも、障害者であることを知られる恐怖からお酒をあおり、待ち合わせ時間直後になってドリスに電話をして「息をしたい」と懇願します。ドリスは詳しいことは聞かずに彼をその場から連れ出すのでした。

 

言葉のいらない関係

二人がドリスの家庭の事情から別れを決断してしばらくしたとき、フィリップは再び発作に襲われるようになります。気難しいフィリップに担当はコロコロと変わり、彼自身も不安定な状態になっていました。呼び戻されたドリスは変わり果てた彼の姿を見て、彼に「息」をさせるため、パトカーに追われながらも海が見渡せる場所へと連れて行きます。本当のフィリップの気持ちを察することができるのはドリスでした。海を目の前にしたフィリップは生きることを思い出したように、目に涙を浮かべました。

事情を説明しなくても、息苦しさから解き放つ方法が分かるフィリップとドリスの関係は、介護人と障害者という枠をとっくに越えていました。これこそが絆なんだなと感じさせられるシーンが「呼吸」というキーワードで表現されていて、こちらもそのたびに深く深呼吸したくなるような気持ちになります。

 

友情をも越えた深い絆を、終始重くなりすぎない軽やかなタッチで丁寧に描かれている作品でした。モデルとなったふたりの関係は今も続いていると締めくくられています。

 

映画『南極料理人』レビュー

冬の気配も近づいてきましたね。衣替えはもうお済みでしょうか。あたたかい格好をしてあたたかい飲み物を用意したら今夜は『南極料理人』を観てほっこりしませんか?過酷な環境である南極を舞台に繰り広げられる、軽快なコメディー要素たっぷりの物語です。

 

『南極料理人』とは

2009年に公開された邦画です。原作である「面白南極料理人」は海上保安官出身である西村淳さんのエッセイ。映画は複数の賞も受賞しています。

監督・脚本は沖田修一。その他作品は映画「横道世之介」など。

主演は堺雅人。NHKの大河ドラマ「新撰組!」で山南敬助、「篤姫」では徳川家定役を演じています。また「リーガルハイ」「半沢直樹」などの主演で個性的なキャラクターを演じたことでも有名な俳優です。

 

キャストが個性豊か

終始ひょうひょうとした堺雅人の演技が、あまりに過酷さを感じさせないため思わずここ「南極」なんだよね?という気持ちになります。それだけでなんだかおかしな世界に引き込まれている感覚なのです。さらに、料理人を任された堺雅人演じる西村とともに過酷な環境下で働く南極越冬隊員たちを演じるのは、生瀬勝久、きたろう、古館寛治…とこれまた個性豊かでユニークなキャスト。私はこのキャストを目にしただけで「あ、これはおもしろいな」と思わずうなずいてしまいました。

 

食事って大事、調理法も大事

ひたすら真っ白な景色の中で淡々とこなされていく仕事。一歩外に出れば命の危険にさらされる氷点下54℃以下の過酷な世界。電話もとても高いのでたまにしかかけられません。室内での楽しみは限られ、狭い空間の中でゲームをしたり本を読んだり。そんな日々の中で彼らの何よりの楽しみといえば食事です。限られた条件の中で料理人西村はさまざまな工夫をして彼らの胃袋を満たします。そのアイディアや工夫は実際料理に取り入れたくなるものもあったりと、観ていてためになるシーンも盛り込まれていて興味深かったです。

南極で食べる料理のイメージといえば、私は宇宙食のようなものを思い浮かべていました。火などほとんど使わずに食べられる、シンプルで簡単な食事の毎日なのかなと。ところが意外なことにそれはそれは豪華でビックリ。観ているあいだにきっと何度かおなかが鳴ると思います。私は鳴りました。

そして調理法って大事なんだなぁ、と感じるシーンも。いくら豪華とはいえ、なし、な料理もあるんです。ふつうの生活の中で食べられるって言われたらかなりテンションあがるはずです。でもやっぱり、なし、なんでしょうね、きっと。これ以上言うとネタバレになるので言えませんが、つまりは調理法って大事なんだなぁということです。

そして毎日何気なく食べている食事って、大事なんだなぁと感じさせられます。人がどうしてもどうしても無性に食べたくなるものって…シンプルだったりするんですよね。いくら豪華な食材が並んでいても、本当の欲求が満たされない隊員たちは耐え切れずひっそり暴走を始めます。この映画を観終わったあとの夜食はこれで決まりですね。きっといつもに増してめちゃくちゃおいしく感じると思います。

 

世界観がなんともいえない

作中に出てくる色とりどりの料理は、観ているだけでも楽しくなります。南極ってかなり豪華なもの食べられるんだなという意外さと料理人の技のすごさに魅了される2時間です。

厳しい環境下で隊員たちのストレスも溜まっていくなか、メンタルのケアもしながらさまざまな工夫をこらす西村の役割はとても大きなものです。むしろ堺雅人がひょうひょうと演じてくれなければ観ている側が疲れてしまうかもしれない内容ともいえます。ドラマ、リーガルハイとはまた違った堺雅人らしいこのキャラクターが妙にしっくりきているから面白みが増しているんでしょうか。このキャストだと撮影中、どれくらいアドリブがあったんだろうなぁと想像しながら観ているとまた楽しめました。かなり自由そうな人たちばかりなので、南極という過酷な環境設定とゆるーい個性派キャストのゆるーいやりとりというギャップがなんともいえない空気感を醸し出しています。

 

すごく寒そうなシーンはたくさん出てくるのですが、ストーリーとしては最後まで力まずに観られます。寒い日の週末に思いきりあたたかくして、のんびりと過ごす時間にぴったりな作品ではないでしょうか。家族で観るのもよし、カップルで観るのもよし、ひとりでのびのびと観るのもいいですね。

 

おすすめミュージカル映画6選

日が暮れるのもだんだんと早くなってきましたね。秋の夜長をどうお過ごしでしょうか?秋といえば芸術の秋。過ごしやすくなった部屋でのんびりとくつろぎながら、ミュージカル映画を楽しんでみてはいかがですか。ライトからディープなものまで、おすすめの6作品をご紹介します。

 

 

マンマ・ミーア!

2018年8月には今作でおなじみのキャストを迎えて「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」が公開されました。ギリシャの小島が舞台となっており、白い建物と鮮やかな海のコントラストが美しく、その世界観に魅了されます。ABBAの名曲とともに繰り広げられるストーリーで、観終えたあとはきっとABBAを口ずさんでいるでしょう。コメディ要素も織り込まれたハートウォーミングなミュージカル映画に仕上げられています。

 

ロッキー・ホラー・ショー

ハロウィンのこの時期に観たくなるのがこちらの「ロッキー・ホラー・ショー」です。ラブラブのカップルが迷い込んだお城は何とも奇妙な人たちが集うパーティの真っ最中で…。ひと目見たら忘れられないフランクン・フルター博士のインパクトに圧倒されること間違いなし。1976年の作品ながら、今観てもハマる人はどっぷりハマる、ひとクセもふたクセもある奇妙なホラーコメディ映画です。

 

美女と野獣

ディズニーアニメ「美女と野獣」が実写化し、大ブームとなったのが記憶に新しいのではないでしょうか。美しいベルと、呪いによって野獣の姿に変えられてしまった王子との真実の愛を描いた物語。ポットや燭台が動き回り話しだしたりとファンタジー要素も満載で、ミュージカル映画に慣れていない人も鑑賞しやすい作品でしょう。主人公を演じる「ハリー・ポッター」シリーズでおなじみのエマ・ワトソンは、ベルの聡明なキャラクターにぴったりです。

 

シカゴ

刑務所というシリアスな舞台で繰り広げられるストーリーながら、観ていて爽快な気分にもなる映画。女という生き物のどこまでも貪欲でしたたかな姿がだんだんと格好よく見えてくるから不思議です。最低なキャラクターなのにキャサリン・ゼタ=ジョーンズがとにかくかっこいい!出てくる女性はみなセクシーな衣装で歌い踊るのですが、クールな色気に引き込まれます。スカッとしたい気分のときにおススメです。

 

ヘアスプレー

主人公トレイシーは太った女の子。けれどそんなことを気にしない天真爛漫な性格で、ダンスと歌が大好き。黒人差別というテーマながら、軽快なダンスと歌で進行していく爽やかなストーリーに仕上がっています。あたたかで優しい家族の存在も印象的。ジョン・トラボルタ演じるちょっと過保護なママもステキです。観終わったあとは思わず踊りだしたくなるような、ハッピーな気持ちになれるミュージカル映画です。

 

ラ・ラ・ランド

アーティストと女優という、夢にやぶれた二人の男女が出会い、恋に落ちてゆくラブストーリー。人生というそれぞれが持つ波長が合ったとき、人や運命は出会うことができますが、ズレれば永遠に手に入らないものとなってしまいます。そんなはかなさの中で生きながら、人は小さな幸せをひとつずつ拾い集めてゆくのでしょう。ファンタジーを盛り込みながらも、物語はしっとりと進行してゆきます。挫折を知る大人だからこそ観てほしい、心のすみまで染み渡る映画です。

 

 

ミュージカル映画は好みがはっきりと分かれるジャンルのひとつですよね。落ち込んでいたかと思えば突然歌い出し、スクリーンを所せましと舞い踊る、そんな不自然さに苦手意識を持つ人もいらっしゃると思います。今回は、そんな抵抗感を抱いている人でも観やすく、おもしろかった!と評価されている作品をピックアップしてみました。

ふだん鑑賞する映画は専門ジャンルが決まっているという人も、この機会にミュージカル映画の魅力にふれてみてはいかがでしょうか。歌や踊りを通して伝えられるメッセージや雰囲気、ストーリーの中で刻まれるリズムの小気味よさ、誘われる世界観に身をゆだねてみると、新しい感覚が待っていることでしょう。

ハロウィンのシーズンになると観たくなる「ロッキー・ホラー・ショー」やハッピーになれる「ヘアスプレー」など、ひとくちにミュージカル映画といってもさまざまなテイストのものがあります。泣きたかったり笑いたかったり、気分転換をしたかったり。その日の気分に合った作品がたくさんありますので、今の自分にぴったりなものをセレクトしてミュージカル映画ならではの世界を堪能してみてくださいね。

2018年9月秋公開の注目映画6選

最近、感動していますか?泣いていますか?ドキドキしていますか?2018年9月の映画は様々なジャンルで注目したい作品がそろっています。疲れで凝り固まった心を、ちょっと映画でほぐしてみませんか。9月注目の公開作品、その中の一部をご紹介していきます。

 

クワイエット・プレイス

監督、共同脚本、製作総指揮:ジョン・クラシンスキー 出演:ジョン・クラシンスキー、エミリーブラント

音を立てるとやってくる“何か”から生き延びるため、物音を立てず、手話で会話をして息を潜めながら過ごす1組の家族。この作品を観るなら、ポップコーンを食べる手は90分間止まることでしょう。静寂の中で生き抜く家族の緊張感が観るこちら側にもひしひしと伝わってきます。恐怖の末に待っているのは感動でしょうか、それとも絶望でしょうか…低予算ながらアメリカで異例の大ヒットとなった注目作品です。

 

君の膵臓をたべたい

監督脚本:牛嶋新一郎 出演:CV 高杉真宙、CV Lynn

「きみすい」の愛称で大ヒットした実写映画がまだ記憶に新しいのではないでしょうか。こちらはその原作小説のアニメ版となります。陽の光とともにやわらかいタッチで描かれているアニメーションが優しく印象的です。病を患いながらも明るく振る舞う少女と「僕」の、はかなくもせつない青春ストーリー。実写版をすでに鑑賞済でネタばれしていても、また違ったテイストで描かれる世界観に魅了されることでしょう。

 

プーと大人になった僕

監督:マーク・フォスター 出演:ユアン・マクレガー、プー(声の出演:ジム・カミングス)

大人になると、誰しもが忙しさを理由に本当に大切なモノを忘れてしまっている気がしませんか。せわしない毎日に少し疲れてしまったという人にオススメしたいのがこちらの作品。あのくまのプーさんと仲間たちが森を飛び出し、実写となってロンドンの街に登場。主人公に懸命に、そして優しく、本当に大切なモノを教えてくれます。外はどんどんと寒くなってきますが、この映画で心をそっとあたためてみてはいかがでしょうか。

 

響 HIBIKI

監督:月川翔 出演:平手友梨奈、柳楽優弥

活字離れが進む現代に現れた天才少女、響。彼女の小説は文学界を揺るがすほどのものでした。その才能に注目が集まり、響の生き方やその行動も知られることになります。響のその姿は周りの人間の価値観をも変えるほどまっすぐで、自分の信じる生き方を決して曲げません。流されて生きることに慣れてしまった自分をハッとさせてくれます。欅坂46のセンターで知られる平手友梨奈が主役ということでも注目される作品です。

 

かごの中の瞳

監督/脚本:マーク・フォスター 出演:ブレイク・ライヴリー、ジェイソン・クラーク

二人で穏やかに暮らす夫婦。手術によって妻の目が見えるようになり、これからは新しく素晴らしい日々が始まる、はずでした。初めて見る夫の顔、初めて見る日常の風景…。今まで描いてきた世界との違いに戸惑いながらも、妻は「見える世界」になじんでゆきます。化粧をし、しゃれた服で着飾って新しい世界を謳歌する妻。しかし、変わっていく妻を受け入れきれない夫は次第に嫉妬に狂うようになります。平穏だった二人の関係は少しずつ歪んでいき…。人間が変化に揺れ動くさまを鋭く鮮明に描いた作品です。

 

コーヒーが冷めないうちに

監督:塚原あゆ子 出演:有村架純、伊藤健太郎

こちらはベストセラーとなった小説「コーヒーが冷めないうちに」を映画化した作品です。ある席に座り条件をすべて満たすと、戻りたい時間に行けるという不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」が舞台。そこへさまざまな事情を抱えた人々が訪れるというファンタジーテイストな物語となっています。この作品を観た帰りには、美味しいコーヒーを求めてフラリと喫茶店に立ち寄りたくなるかもしれません。有村架純演じる時田数が淹れてくれたら、私もあの日へ戻れるかも…。

 

今回は6作品をホラーあり、ファンタジーあり、人間ドラマありでご紹介しました。気になる作品はありましたか?ふだんはDVD派という人も、季節も過ごしやすくなってきましたし、スクリーンで思いきり堪能してみてはいかがでしょうか。9月公開の新作品、ぜひ映画館へ足を運んでご鑑賞ください。

映画『Vision』レビュー

今回は河瀬直美監督作品『Vision』のレビューを行いたいと思います。なかなか個性あふれる作品でした。確実に好みの別れる映画です。話の内容を簡単にまとめつつ、私なりのコメントも合わせてご紹介したいと思います。ネタバレが含まれますので、話の内容を知りたくないという人は、閲覧をお控えください。全てのストーリーを紹介することはありませんが要所要所の場面には触れていきます。

 

まず、物語を語る上で避けては通れないキーワードから。映画のタイトルにもなっているように、Visionについてお話ししましょう。Visionとは、約1000年に1度しか胞子を飛ばさない幻の薬草とのこと。映画の冒頭では、そんな説明です。というのも、山に住む男の元を2人のフランス人(一人は日本人だが、フランス語を話せるという設定なのか)が訪れ、このVisionを探し求めます。フランス人女性の1人を演じるのはかの有名なフランスの女優であるジュリエット・ビノシュ。彼女は、Visionについての研究をフランスで行い、難解な計算を解いて…その結果、今年、その山でVisionという草がお目にかかれるのだと判断したとのこと。

 

主人公である永瀬正敏は、山に住む住人です。彼は、フランスからの客を二人、泊めてやることにしました。最初は、片方のフランス人(つまり、フランス語が話せる日本人か)が通訳をするのですが、途中から、なぜか…その人が「おばあちゃんの家にいく」と言って消えてから、英語での会話が始まります。これには違和感を覚えてしまいます。なぜ、今までは、通訳なしでしか会話ができていなかったのに、いきなり、英語が普通に話せるようになるのか。しかも、山奥に住む主人公が、普通に英語を話せることの説明がどこにも見当たりません。英語が話せてもいいのですが、その際に「あ、話せる。どこで英語を?」などのリアクションがあるべきでしょう。しかし、そんなこともなく、英語を話せて当然かのように、物語が展開します。

 

フランス人女性が主人公の家に住み始めてすぐ、二人のラブシーンがあります。いきなり、女性がキスを仕掛けて、謎のラブシーンが始まります。が…これの位置づけは最後まで不明なまま。私個人としては、決していらない時間であったように思えます。その女性がただ気まぐれに男の人に手を出したような印象に終始していると言わざるを得ないでしょう。そして、フランス人女性は一度、フランスに帰国します。

 

そうこうしているうちに、どこからともなくある青年が現れます。一人ぼっちになっていた男性は、遭難していた青年を助け、家に泊めます。すると二人は意気投合。フランス人女性がまた帰ってくるのですが…彼女は嫉妬したような表情で、「いつからここに?」と尋ねます。ものすごい、不機嫌そうです。これの説明がつきません。なぜ…何が気に入らないのか…これがわからないままに、話は進んでいきます。英語での会話ですが…新しく家に加わった青年は映画わからないので、主人公である男性が通訳をします。青年が作った料理を食べたフランス人女性が「美味しい」といったら、それを通訳していました。しかし、ある日、急に、青年は英語を話すようになります。歯がゆい展開が続きます。映画的に大げさに説明する必要はないのですが、せめて、「え?いきなりなんでこんな矛盾が?」という部分は、ちゃんと責任を持って、辻褄合わせをしてもらいたいものですが…そんなものはありません。

 

河瀬直美監督は、自分で作りたいものを作っているのかもしれませんが、それが人に見せる作品になっているかというと、少し疑問が湧きます。自分で作って、自分で楽しんで、それを家族に見せる程度ならよかったのかもしれません。無料で公開する場合も何も問題ありません。お金を取っておいて、ランダムな思考を「はい」と手渡されたような印象です。

 

芸術的な側面を強くすること自体は賛成です。そんな映画があってもいいと思います。芸術的で、見ていて、気持ちいというか…ああ、芸術作品を見ているのだ…という感覚です。かと言って、この作品は芸術作品にもなりきっていません。どこかで、「このあと、話の辻褄が合うのだよ…」と匂わせておいて、一気に、放置される。これの連続です。裏切りにも気持ちのいいものと悪いものがありますが、この作品は誠に後者に甘んじています。黒澤明監督の『夢』のように、芸術的な鑑賞ができるのなら、いいのですが、そうでもありません。

 

この芸術的要素を入れたい…このストーリーにしよう…ああ、でもこの話はやめとこう…というその場の考えがつぎはぎされた…そんな印象を受けてしまいます。全体がどうも密着せず、浮き足立ってしまっています。作品を最後まで見ても、Visionが一体なんなのかが不明なまま。薬草や植物であるかどうかすら謎です。この監督のファンの人が見ても、ひょっとすると「はい?」で終わるのかもしれません。

 

芸術的な要素にこだわるのか、それとも、ストーリーに整合性を持たせるのか。どちらかはっきりすることで、この作品は改善できるのかもしれません。ツアーに参加したのに、予定されていた見所をすっ飛ばして…弾丸ツアーが終了した。そんな気分になってしまいました。どれだけ「芸術的な」作品を好む人でも、これには首をかしげるのではないでしょうか。

映画『ラヂオの時間』レビュー

 

 

今回は三谷幸喜監督作品『ラヂオの時間』についてのレビューを行いたいと思います。あくまでも私の視点からのコメントになりますが、ご容赦ください。ちなみにラヂオの時間はNetflixで現在公開中ですので、すでに登録されている方は是非ともチェックしてみてください。

 

煩雑な雰囲気が秀逸

 

『ラヂオの時間』には煩雑な雰囲気がたっぷり盛り込まれています。あっちで小言が聞こえ、こっちで怒号が飛び。通常、映画は、決められた空間が前面に出てしまうものです。例えば、あまりにも、相手が話している間、沈黙を守ったり、決まり切った順番で人が話し…といった具合です。この映画には、そんな不自然さがありません。映画である以上、セリフが決められているのですが、それを全然感じさせない、絶妙な空気感が漂っているのです。いいい意味での、気持ちのいい「煩雑さ」があるのではないでしょうか。三谷幸喜監督の作り出した、ナチュラルな空気感であり、それを役者が見事に体現しています。

 

登場人物の個性が絶妙

 

登場人物の個性にはやられます。それぞれに「こんな人いるよな〜」と思ってしまうのです。そして、次の瞬間には感情移入をしてしまいます。人それぞれが感情移入をする対象は違うでしょうが、多くの人が、主婦であり、脚本を担当した鈴木みや子に感情移入をしてしまうのではないでしょうか?その作り方が絶妙です。「何だ、この人は!」とか「いかにも、この人っぽいよな〜」とか、つい口ずさんでしまいます。

 

自己中度合いが最高

 

よくも悪くも、それぞれが自己中。だからこそ、衝突の結果、面白いストーリーが展開していきます。自分のキャラクターの名前を勝手に変えるところから始まり、人物の職業を変え…役者たちがわがままな要求を出します。それに困る鈴木みや子。思い入れのある作品であることから、絶対に変えないで欲しいと食い下がりますが、それでも、「向こう側」の都合でどんどんと話が変わっていってしまうのです。漁師だったはずの男性が、パイロットになり、パイロットになったことで、「海に溺れているヒロインを助ける」という設定に無理が出て、辻褄を合わせるように、ダムの決壊に設定を変える始末。元々の話とは全く関係のない方向へ。最初の「割れ目」を直そうとしていたら、どんどんと「ひび割れ」が大きくなって…トンデモナイ方向へ…とでも言いましょうか。製作者たちが勝手に(質の高い作品を提供するかどうかよりも、とりあえず、無事に放送しきるという点だけに意識を向けて…)話のつじつま合わせを繰り返していきます。

 

話は捻じ曲げられるという教訓

 

このつじつま合わせという側面から面白いことがわかります。考えてみれば、このようなことはあらゆる場所で行われているでしょう。いつからか、目標が「本当にいいものを提供する」ではなくなり、何か他のインセンティブだけに囚われて、ただ「穏便にこなす」だけになる。テレビ業界でも、ラジオ業界でも、映画業界でも、雑誌業界でも…枚挙にいとまがありません。三谷幸喜監督は、そんな、形骸化した負の側面を炙り出しているのです。しかも、面白おかしく。実際、この『ラヂオの時間』は、三谷幸喜監督自身が脚本を担当したテレビドラマが勝手に書き換えられたことにより、誕生しました。考えさせられるものがありますね。

 

信念を貫く人でありたい

 

自分だったら、どうなのか。考えてみると面白いものです。例えばテレビのADだとして、いつもディレクターや構成作家から怒られてばかりで…そんな日々が続いたら、「いいものを」というよりも「怒られずにうまくやる」方法を探し始めるかもしれません。中途半端に出世したらどうでしょうか?役者やディレクターの板挟みになるかもしれません。『ラヂオの時間』でも、この板挟みの要素が絶妙に描かれています。ここからわかるように、三谷幸喜監督は、「変える側も、やりたくてやっているわけじゃない」という苦しい事実を把握しているのでしょう。その中でも、何とか、それぞれが折り合いをつけながら、作品は展開していきます。当然、複数人での作品作りとなると、意見の食い違いや衝突はあります。しかし、大事なのは、そんな状況でも、初心を忘れずに、フレッシュな気持ちで、「真の目標」を追い続けることかもしれません。実際、本作品の中でも、鈴木みや子に感化された一人が、革命とも言える英断を下し、いき過ぎた話の改変を防ぎます。そして、何とか、最後には、皆が「やってよかったね」と言える瞬間がやってくるのです。人間のエゴやめんどくささが絶妙に表現されており、学べることは多い上に、笑える。ぜひとも、日本の人のみならず、海外の映画ファンにも紹介したい作品です。

 

海外旅行前好きが見ておきたい海外の名作映画まとめ(3作品紹介)

 

海外旅行も映画もどちらも、楽しみながら大きな学びを得られるという意味で、非常に似通っています。新たな世界へ飛び出して、今まで見聞きしたことのない何かに触れることができます。これらの効果をより一層高めるためには、海外旅行と映画を組み合わせてしまうのがオススメです。映画で見た世界への好奇心にしたがって、その舞台となった国や都市を旅行してしまったり、海外旅行で訪れた場所についての知識を深めるために関連する映画を見てみたり。今回は、海外旅行好きが是非とも見ておきたい海外の名作映画をまとめてご紹介します。

 

1. 『ミッド・ナイト・イン・パリ』

 

旅好きの間でも圧倒的な揺るぎない人気を誇る場所、それがパリ。いかにもおしゃれな街で、ここにある全てがおしゃれな雰囲気で溢れています。ヨーロッパ好き、フランス好きなら、必ず見ておきたいのが『ミッドナイト・イン・パリ』でしょう。パリを旅行しているような、パリに住んでいるような、また、パリで恋しているような体験を画面を通して楽しむことができます。VR作品として是非とも実現してほしいと思う名作です。この映画を見て、作中に登場する様々な場所をチェックして、実際に旅行で訪れてみるのもいいかもしれません。

 

2. 『ペーパー・ムーン』

 

素敵な白黒の世界観。美しい人間劇。洗練されたカメラワーク。心和むストーリー。そして旅。あらゆる要素が詰め込まれているにも関わらず、シンプル。そんな作品がこのペーパー・ムーンです。物語の主役はある詐欺師と、その人の元に突然現れた少女。この二人が一緒に長距離を移動しながら、絶妙な掛け合いを行います。ロードムービーなので、一緒に車で旅をしているような臨場感すら抱くことができます。さらに注目してほしいのが少女(テータム・オニール)の圧倒的な演技力です。とってもナチュラルでありながら深みのある演技を披露しています。原作は、小説『アディ・プレイ』です。テータム・オニールは現に、この作品での演技が評価されて、史上最年少での助演女優賞を獲得しています。さらに面白いことに、その詐欺師の男(ライアン・オニール)と少女は実の親子という関係。実際の親子が劇中で見せるコンビネーションは圧巻の一言。この映画に触発されて、アメリカの大地をオープンカーで駆け抜けてみたいと思う人も少なくないはずです。事実として、アメリカの広大な自然はあらゆる観光客を魅了しています。どこまでも広がる大地。まっすぐに伸びた道路。そんな場所を風を感じながら駆け抜ける。死ぬまでにやっておきたいことリストの中に是非とも書き加えてほしいものです。

 

3. 『カサブランカ』

 

カサブランカは不朽の名作として世界中の映画ファンを沸かせてきました。映画好きならまず知らない人はいないというほどの有名作品です。見たことがない人でも、すでにその名前はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?この物語の舞台は北アフリカ、モロッコの都市カサブランカ。カサブランカという名前ばかりが先行して、この国の首都がカサブランカだと勘違いする人がいますが、実は、ラバトという都市が首都なのです。話を戻すと…この映画の美しさは世界観。まさに魅惑の国であり、美しき都市。実際に、モロッコのカサブランカが美しい街かどうか…確認したい人は是非とも、この映画を見た後にモロッコを訪れてみてください。モロッコ旅行について言えば、モロッコの治安は特殊で、少しばかりの注意は必要でしょう。しかし、それだけの美しい場所も多数存在し(シェフシャウエン、フェズ、マラケシュなどなど)訪れてみる価値は大いにあります。日本人の間で人気が高まっているモロッコなので、今のうちに、映画『カサブランカ』を見ていない人はチェックしておいてください。

 

終わりに

 

ちなみにモロッコは北アフリカの一番北の先端に位置しているので、ここからスペインまでフェリーで移動することもできます。モロッコとヨーロッパを一緒に旅行するというプランもありかもしれません。さらに北上すればフランスのパリがあります。アラブ圏の国とヨーロッパの文化や人々、雰囲気の違いを比較しながら旅をしてみるのもいいものです。また、iTunesやAmazonからタイトルを購入してスマートフォンに保存することで、海外旅行中にその場で映画を楽しむこともできます。パリで『ミッドナイト・イン・パリ』を楽しむなんて、最高の贅沢だと思いませんか?例えばフランス旅行では、TGVなどの長距離鉄道を頻繁に利用することになるでしょう。そんな長旅のお供としても映画が大活躍してくれるはずです。

映画で犬の首輪とコロッケっていうのがあるって知ってた?

映画で犬の首輪とコロッケっていうタイトルのものがあるんだね。
初めて聞いたときはどんな映画なのかイメージできなかったから調べてみたところ、
大阪の芸人さんが監督した自伝的な映画なんだって。

大阪の不良が漫才師になったって言うあらすじを読んでたらなんとなく興味出てきちゃった。
芸人さんが監督しただけあって、ギャグシーンもちょこちょこあって笑えるみたい。

DVDも発売されてるみたいだから、今度見てみるつもりだよ。